ハッピーエンドなんていらない
クラスも4人とも一緒だ。運命のいたずらというやつか。
4人は一緒にいるべきだと言われてるようで、嬉しくて悲しい。
席は、わたしは雪と隣だ。湊と紫苑は少し離れている。
「…あー、そういえばさ、また今度も秋祭りも4人で行こうな」
不意に湊が後ろを向いて、ニコリと笑う。
「秋祭りっていつだったっけ?」
相変わらず腕は絡められたままで、紫苑は湊の方を向いて尋ねた。
「確か今週の土曜日だけど…。部活とかはみんな大丈夫?」
心配そうな顔。
湊は4人でいる時、いつもいろんな顔をしてくれる。
でもきっと、紫苑にしか見せない顔があるんだろうなと思うと、なんだかもやもやとする。
消したくても消せない想いが、もう消えてはくれなくて、心に深く深く染み付いていく。
「秋祭りかあ…、楽しみだね」
平気な顔をして嘘を吐くわたし。
楽しみなんかじゃ、ない。