ハッピーエンドなんていらない
女の人の声を聞いた瞬間にすべて悟ってしまった。
…ほんと、最悪。
図書室はそういうことをする場所じゃないし、わたしのお気に入りなんだから、汚さないでほしい。
なんて、もちろん口には出きなかったんだけど。
ただふと、湊と紫苑もそういうことをしたりするのかなとか考えてしまう。
そりゃあキスもしてるんだし、しててもおかしくないんだけれど。
湊を好きだから、胸が痛む。
そんな自分に、心が荒む。
開けたときと同じように音を立てないように閉めてから、わたしは教室に向かった。
持参の小説か、学級文庫でも読んでいよう。
教室なら、ちょうど今日課題が出たしそれをやってもいいだろう。
教室は偶然開いていて、鍵を取りに行く手間がはぶけた。
自分の席についてから、とりあえず課題を終わらせようと用具を広げた。