ハッピーエンドなんていらない



そうして、しばらく経ってからふと黒板の方を見た。


日直の文字の下に、湊の名前が書いてあった。

そういえば、明日は湊が日直なんだっけ。


紫苑の話によれば、日直はいろいろと大変らしかった。

わたしはもう少しあとなんだけど、そういえば湊はそろそろ、か。


ゆっくりと立ち上がり黒板を眺める。


…ああ、今日の掃除の人少しサボったな。

白のチョークが消えるどころかうっすら広がって残っていた。


中途半端で、ちょっぴり気に入らなくて、近くにあった黒板消しを手に取った。

力を入れて黒板消しでチョークの粉を消しとっていく。


ゆっくり時間をかけて、力を入れて。

そのうちに、満足のいくくらいに綺麗になった。


さすがわたし、なんて自画自賛してみてから、席に戻ろうとして、足を止めた。

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