ハッピーエンドなんていらない
雪の言葉に、思わず「え、」と驚いてしまう。
なんて言えばいいのか困ってしまって、
「えっと、その…、カップルがそういう…」
伝わることをただただ願ってそう言っていると、雪は納得した顔をした。
「それは、入れないな」
思い切り苦笑いする雪に、そうでしょうとわたしも苦笑いをした。
それから雪はわたしの方をマジマジと見るとまた首を傾げた。
「ところで彩芽は、黒板の前に立って何をやってたの?」
何も書かれていない黒板を見ながらそう言った雪に、ドクリと心臓が大きな音を立てる。
大丈夫、あの文字はきっとバレないはず。
そう信じて、わたしは雪にニコリと笑いかける。
「黒板が綺麗に消せてなかったから、綺麗にしてたの」
「偉いな、さすが暇人」
わたしの言葉にニヤッと笑った雪に、「なんだと」と軽く頭を小突いてやった。
まあ、確かに暇人なんだけれど。