ハッピーエンドなんていらない
秋祭りは花火もある。
きっと、紫苑と湊は2人で並んでみるのだろう。
2人で楽しく笑うのだろう。
…分かってる。嫉妬してる。紫苑が羨ましくて仕方がない。
でもね、もう少し。忘れるために、頑張ってるから。
だって、わたしが諦めないと。
いつか想いがバレて、裏切ったのかなんて言われたくないから。
大切な親友のことを、裏切りたくはないから。
それに、湊だってきっと、わたしに好きだなんて言われても困るだけだよね。
ああでも、消えない…。
「それにしても、雪と彩芽もいっそ付き合っちゃえばいいのにな」
グサリと心を突き刺す言葉。
持っていた鞄に力を込める。
…わたしは今、うまく笑えているだろうか。
湊の言葉はあまりにも残酷で、わたしの心をいとも簡単に傷付けた。