ハッピーエンドなんていらない



誰かに打ち明けたかった。

少しでもそれでスッキリするなら、想いが少しでも消えるなら。

溜め込んできた想いをぶちまけてしまって、それで少しでも消せるなら。


涙がポロポロとこぼれてきて、もう何もハッキリとは見えなくなっていた。

もうなにも、ハッキリとは見えてほしくなかったけれど。


「…泣きたいだけ、泣けばいいよ」

雪の優しさが傷に滲みる。

どうしようもないくらいの優しさにわたしは縋り付いて、嗚咽を繰り返しながら泣いた。


雪に抱きしめられて、雪のぬくもりを感じながら泣いた。

ぎゅっと服の裾を掴んで、その手に力を込めて。


想いは声にはならなかった。

泣き声と涙になってこぼれ落ちていった。


グランドはまだ部活の片付けをやっている人たちがいる。

でもそろそろ人が来てしまうから、雪はそっと携帯を取り出して何か打った。


それから、

「湊と紫苑には先に帰ってもらったから」

そう言ってわたしの頭をなでるものだから、わたしは気が済むまでまた泣いた。

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