ハッピーエンドなんていらない
ぐっと唇を噛んで涙をこらえる。
…わたしは優しくなんかないと、言い聞かせないと壊れてしまいそうで。
「…とりあえず、帰ろうか」
荷物を持った雪に続いて、わたしも荷物を持って教室を出る。
教室の鍵を閉めて、鍵を職員室の担任に預けたあと、雪と並んで帰る。
雪と2人きりで帰ることなんてほとんどなかったから、なんか変な感じだ。
学校から駅までは歩いて15分ほどだった。
疲れている雪のペースにあわせているから多分、20分くらいかかるだろう。
「…随分ゆっくり歩くんだね」
雪が、ほんの少し斜め後ろを歩いていたわたしに、不思議そうに首を傾げる。
どうやら雪もわたしのペースにあわせていたらしい。
どうりで、だんだん遅くなっていると思ったら。
「雪にあわせようと思って」
そう言って歩くペースを少し早くすると、雪はふと笑みを浮かべて余裕の表情でおってきた。
部活が終わってから結構時間が経ったから、疲れもだいぶ回復したのだろう。