ハッピーエンドなんていらない
しばらく電車に揺られたあと、家からの最寄り駅で降りて歩き始める。
駅から家まではだいたい歩いて10分くらいで、わりと近い。
電車の中で話していたことの続きを、適当にグダグダと話していた。
そんな中、ふと雪が足を止めた。
また月を見て、わたしを見据えたあと、ゆっくりと口を開いた。
「おれと付き合ってみようよ」
「…、はぁ?」
いきなりの発言に驚いて戸惑ってしまう。
何を言ってるのと首を傾げて怪訝な顔をするけれど、雪はいたって真剣なまま。
「…どういうこと?」
訳がわからず聞き返すと、雪はジッとわたしを見つめたまま、
「だから、おれと付き合ってみないかって話」
もう一度同じようなことを言うものだから、思わず眉をひそめた。
「やめてよ、なんの冗談?」
雪に訴えかけるわたしに、
「冗談じゃねえよ、本気」
ハッキリとそう言い放つ雪。