ハッピーエンドなんていらない



後悔が襲ってきたのは、雪と別れて家についてからだった。

流れで付き合うなんて言っちゃったけど、付き合うべきではなかった気がする。

雪と帰ってても手を繋いでいても、考えているのはいつも湊のことばかりだった。


「なんだか、なぁ…」

大きくため息をついてベッドに寝転がる。

勉強をする気にもなれなくて、まだ課題が余っているけどやる気になれなかった。

どうせ明日提出ではないし、とりあえず放っておいてもいいかな。


「これで、良かったのかな…」


本当にわたしは湊を忘れることができるのだろうか。

雪を傷付けるだけになってしまうのではないのだろうか。

たとえば雪がわたしを好きになったとして、わたしだけ湊を好きなままで。

ああでもそれを言ったら、わたしが雪を好きになって、雪が紫苑を好きなままである可能性もあるのか。

考えれば考えるほど想いは複雑になっていって、いつの間にか眠りについていた。

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