君は夜になく
─はじまりの夜─
ボロン、ボロン。
静まり返った夜の公園の闇に、響いた音色は吸い込まれていく。
奏でるあたしの音は、今日もどこか悲しげだった。
ボロン、ボロン。
音楽は、目に見えない。
この音みたいに、あたしもいつか、誰からも見えない存在になるのかな。
焦り。不安。恐怖。
弦を弾けば、素直にあたしの感情を吐き出して鳴く。
誰かに見てほしくて、叶えられなくて。
だからあたしはあたしを繕う。
だけど
どこか虚しくて。
ボロン、ボロン。
気づけばあたしは、ないていた。
今日も、人知れず。