君は夜になく
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人の溢れる廊下を、帆乃香と歩く。
「もう私不登校になろうかなあ…」
「そういうこと言わないの。」
配られた紙をぐしゃりと握りしめ項垂れている帆乃香は、早くもネガティブモードだ。
配られた紙には、あたしが1組、帆乃香が4組と書かれていた。
凹んでいる帆乃香を見ると、なんとなく申し訳なく感じるけど、やっぱりどこかほっとしている自分がいる。
「絶対友達なんて出来ない…」
「そんなことないって。」
「真夜のとこ遊びにいくからね!」
「え」
…帆乃香なら来るんだろうな、絶対に。
「…ちゃんと友達作りなよ?」
「それまでは真夜のとこいる!」
だから、それだと意味ないんだってば。
心のなかで、あたしは盛大にため息をついた。
彼女は本気で、あたししか友達はいらないと思っているところがある。
あたしは曖昧に笑って、帆乃香を急かした。
「ほら、そろそろチャイムなるだろうし、始業式に遅刻扱いなんて駄目でしょ。教室行こう。」
「…うん。」
階段を上がってすぐ左の教室が、1組だ。
あたしの方が先に教室に入る。
「じゃあね。」
「帰りは一緒に帰ろうね!?絶対だよ!」
「…分かった。」