君は夜になく
新しいクラスの担任はいたって普通の中年教師で、特徴といえば明らかなヅラくらいだ。
『…一時間目は自己紹介で終わったからな。
先に委員会決めするか。』
担任の声に、各々だるそうな返事を返す。
かくいうあたしも、委員会なんて興味もなくて、話半分に窓の外を眺めていた。
『-------じゃあ、篠崎さんに決定で。次の----』
桜が、風で舞い上がる。
その度に、あたしの中の音がふわりと高鳴る。
『-------い』
けど同時に、儚く地面に落ちていく姿が切ない。
…なんかこれで、曲ができ…
『おい、北村!!聞いているのか!!』
全ての音が、弾けとんだ。
あれ?
『は、はい!』
気づけば周りが、全員あたしを見ていた。
そして、怒りマークのついた担任も。
えっと…??
これは、まずいやつ?
はは、と誤魔化すように笑うと、担任は無理矢理笑顔を作って言った。
『今なあ、体育祭実行委員の女子が空いててなあ。
誰か入らないかって揉めてたところなんだ。』
担任と周りの空気が物語っている。
『は、はあ…』
『せっかくだし、北村がやってくれれば事は収まるんだが、どうだ?』
め、面倒くさい。
無理矢理入れると問題になるかもしれないからって、自分からやりますって言わせたいんだ。