君は夜になく



「…やります。」


嫌だという気持ちは十二分にあるのに…気持ちに反して出た答えは、了承だった。


受け入れたことで、クラスの空気が和らいだのが分かる。


「おお、ありがとうな。」


…半ば強制だったくせに。


あたしは拍手されながらへらへらと笑うしかなかった。


これが災難"その1"。



そして、その2が。

「ふっ」


ばかにした笑い声が、左隣から聞こえてくる。

「なによ。」

「は?話しかけないでくれる?うざい。」 


このっ…


席替えで隣になった、豊永光。
ただのイケメンかと思っていたら、性格最悪男だったのだ。



昨日席が隣になり、担任から転校生である彼の助けになるよう言われたので、あたしは声をかけたのだ。


『これからよろしく。なんか分からないことあったら聞いてね!』

我ながら愛想よく言ったものだ。
なのに、転校生はあたしを一瞥すると一言。


『俺、お前みたいなやつ嫌いだわ。』


『…は?』


『そういうことだから俺に話しかけないでくれよ。』


『…』



はあ!?


『ちょ、ちょっと待って!』


…って、本当に無視しやがった…!




 
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