君は夜になく



「まーでも、あのイケメンと話せるって得だよね。」


「…たとえ嫌みでも?罵倒でも?」


「あはは」


結局は他人事だ。
まあいいけど。



「あ、そうだ、真夜今日カラオケ行かない?
このメンバーで!」


しかしすみれちゃんが思い立ったようにいった言葉に、それまでの鬱々とした気持ちが舞い上がった。


「行きたい!」

「よし、決まり!祐希奈と薫も!」



そうだ。あたしはこういう関係が欲しかったんだ。
友達と帰りの寄り道なんて、いつぶりだろう。

「真夜そんなに喜ぶ?」


「へへへ」



だらしなく笑っていると、クラスメートに呼ばれた。


「北村さん。」

「あ、なに?」

彼はお話し中のところ申し訳ないんだけど、とやけに丁寧に断ってからドアの方をを示した。

ドアを見た瞬間、舞い上がってた気持ちが地に落ちるのが自分で分かった。


「真夜!今日一緒に帰ろう!」

「…」


なんで、こう、タイミングが悪いんだこの子は。

空気が気まずくなったのを肌でひしひしと感じるけど、ふと思い直した。


別に帆乃香に合わせる必要ってないよね?
ていうか、約束したのはすみれちゃんたちが先だったし!





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