君は夜になく
一階に降りると、スーツにエプロン姿の母がキッチンから出てきた。
「おはよう!」
席に着くと、ご飯にお味噌汁、鮭と、美味しそうな日本の朝御飯が並んでいる。
さすが料理上手の母。
「おはよう。なんか今日はいつもより明るいわね?
なんか楽しみなことでもあるの?」
「だって、お母さんと朝御飯食べるの久々だし!」
うちは母子家庭で、母は都心のほうでOLをしている。
兄はいるけど一人暮らしをしているから、基本的に食事は一人だ。
「それに…」
「それに?」
なんとなく今日は、いいことある気がする、というのは口に出すとフラグが立ちそうなのでやめておこう。
「ううん、なんでもない!
今日もお母さん遅いんでしょ??」
「…うん、いつもごめんね」
「大丈夫だよ、その間に料理上手くなっておく!」
「ありがとう。」
ふわりと頭に手を乗せられる。
温かく優しい感覚に、ちょっぴり恥ずかしくなった。
「…お母さん、もう時間でしょ。
遅れちゃだめだよ。」
「はいはい。行ってきます。」
…よし、あたしも行こう。