君は夜になく



一階に降りると、スーツにエプロン姿の母がキッチンから出てきた。


「おはよう!」


席に着くと、ご飯にお味噌汁、鮭と、美味しそうな日本の朝御飯が並んでいる。
さすが料理上手の母。


「おはよう。なんか今日はいつもより明るいわね?
なんか楽しみなことでもあるの?」


「だって、お母さんと朝御飯食べるの久々だし!」


うちは母子家庭で、母は都心のほうでOLをしている。
兄はいるけど一人暮らしをしているから、基本的に食事は一人だ。


「それに…」

「それに?」


なんとなく今日は、いいことある気がする、というのは口に出すとフラグが立ちそうなのでやめておこう。


「ううん、なんでもない!
今日もお母さん遅いんでしょ??」


「…うん、いつもごめんね」


「大丈夫だよ、その間に料理上手くなっておく!」


「ありがとう。」


ふわりと頭に手を乗せられる。
温かく優しい感覚に、ちょっぴり恥ずかしくなった。


「…お母さん、もう時間でしょ。
遅れちゃだめだよ。」

「はいはい。行ってきます。」


…よし、あたしも行こう。



 
< 4 / 23 >

この作品をシェア

pagetop