君は夜になく
そんなあたしの様子も構わず、帆乃香は不安そうに話し始める。
「今日始業式でしょう?…クラス替えすっごく心配。
今年も真夜と同じクラスがいいな~」
そう、今日は始業式。
早く帰れるし楽だな、とか考えてたけど、そうなるかはクラス替えにかかってるかもしれない。
「あはは…」
帆乃香の甘えたような声にあたしは乾いた笑顔しか返せなかった。
正直、今年も帆乃香と同じクラスは勘弁して欲しい、なんて思ってしまう。
《1番線、電車が参ります。》
「あ、電車来たみたいだし、話はあとでね!」
帆乃香の言葉にほっとする。
うん、と頷いて電車に乗り込んだ。
…─帆乃香とは、中学2年生のときに知り合った。
帆乃香は見た目が本当に守ってあげたくなるような可愛らしい女の子って感じで、女子からあらぬ噂を立てられ敬遠されていた。
特にいじめがあったわけでは無いけど、好き好んで仲良くなろうとする人なんていなかった。
あたしもそんな人たちと同じだった。
…いや、今もそうなのかも。
とある放課後、なんとなく話しかけたら、変に信頼されてしまって着いてくるようになったのだ。
高校被ったときは、怪しい推測を立ててしまった程には帆乃香はあたしにべったりだ。