お前しか見えてないから。*特別番外編*
ナツくんがわざわざマフラーをかけてくれたみたい。
そうだ、私旅館の部屋を出るときマフラーし忘れてたんだ。
「あ、ありがとう…!」
そしたらそれを見た花鈴が、両手で口を押さえてなぜか驚いた顔をしてた。
「ちょ…っ、もしかして……。
えーやだぁ~!ウソでしょ!!
やっぱり鈴菜のそれ、キスマ……」
「行くぞ」
「えっ…!」
でも彼女が何か言いかけたところで、ナツくんが強引に私の手を引いて歩きだして…。
「な、ナツくん…?」
「やっぱあいつうるせぇな。
バス停あっちだから、先行こ」
「あ、うん…」
しかもその横顔はちょっと赤い。
どうしたんだろう…。