お前しか見えてないから。*特別番外編*
せんべいに軽く焼き色が付いた後は、お待ちかねのお絵描きタイム。
「薄く書かないと、あとで焦げるからね」
おばちゃんに注意された通り、筆に醤油をつけると慎重な手付きでせんべいに塗っていく。
「色があんま見えなーい」
「焼くと色が付くらしいぜ?」
「ハルは何の絵書いたのー?」
「ヒミツ♪」
「えーっ!ケチ〜!教えてよ〜!」
楽しそうにじゃれ合う花鈴達を横目に自分も絵を描く。
ふと隣のナツくんに目をやったら、ナツくんもすごく真剣に何か絵を描いていた。
「ナツくんは何描いてるの?」
私がたずねると、こちらを振り返るナツくん。
そして、少し笑いながら
「内緒」
それだけ言うと、また真剣に筆を動かしはじめる。
私は何を書いてるのかすごく気になったけど、あとでのお楽しみだと思い、自分の絵に集中することにした。