叶わぬ恋だとしても
人酔いで軽く痛くなった頭を気にしつつ。
出来る限り人のいない場所を求めて。
私は階段をのぼる。


四階───

音楽室と書かれた場所を見つけて、興味がひかれて、中へ入った。


静かで人の気配がない。
いや、奥に一人で本を読んでいる男子生徒が。
人かと疑うくらいに静かに、美しく、一ミリの生気をも出さず、ただひたすらに楽譜を読んでいる。
< 3 / 39 >

この作品をシェア

pagetop