いつか必ずあなたの心掴むから
よくわからないけど、私は影にしがみついて号泣していた。


お母さんの気持ち・・考えた事なかった。


「俺のおふくろもピンサロで働いてたよ。


 なにせ姉弟が4人もいたからね」


と言って影は私の髪を撫でた。



影のお母さんも・・大変だったの・・?



「俺はお袋を軽蔑した事は一度もない。


 そりゃあ、正直やって欲しくない職業だけど・・


 そこまで追い詰められてたんだ。


 おかげで俺達姉弟はみんな大学卒業してる。


 あ、俺はまだだけど」


と言って影はクスっと笑った。


私は嬉しくて(何が嬉しいのかわからないけど)影に抱きついた。


説明つかない心の重荷が少し軽くなったような気がした。



影は私が泣き止むと「腹減った」と言った。


私も大泣きしたらお腹が空いた。



「料理は出来るけど材料がないよ」


と私は影に言った。


すると影はスマホを出して電話をかけた。


「取りあえず一週間分くらいの材料買って来て」


と言った。


そして1時間後にチャイムが鳴った。


スーパーの袋をたくさんぶら下げたスーツを着た人が荷物を置いて行った。


「今の人誰?」


と私は聞いた。


「内緒」


と影はそっぽを向いた。


こうして、私の家政婦?の生活が始まった。


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