いつか必ずあなたの心掴むから
私と母は築20年のアパートに住んでいる。


間取りは2K。バス・トイレ付。


楽しかった気分はだんだん影を落とし、重い足取りでアパートに帰る道を歩いていた。


腕時計を見ると、もう8時半を過ぎている。


(よし、もういないはずだ)


と私はアパートのドアの前に立った。


鍵を指し込もうとした時、”喘ぎ声”が聞こえた。


私は固まった。


中から、男と、女の激しい喘ぎ声がハッキリと聞こえた。



私は一歩ドアの前から退き、そのまま来た道を走った。


(なんで、どうして・・)



気が付けば繁華街を歩いていた。


繁華街にはネカフェがたくさんある。


美香と親友になるまでは私はネカフェで時間を潰していた。


その習慣の名残でここへ来てしまったのか・・。


『何かあったらいつでもうちおいで』


と言ってくれた美香の言葉が頭の中で反響する。



でも、今の私の顔を見たらきっと美香に心配をかける。


せっかく楽しんで別れたのに、私も美香とは笑顔のままでいたい。


私は仕方なくネカフェを探す事にした。
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