いつか必ずあなたの心掴むから
「放して!誰か助けて!!」


と静は叫んだ。でも無駄だった。


すぐそこは雑踏で賑わっているのに誰もこっちを見ようとしない。


金髪頭のチンピラが睨んでいるからだ。


静は禿親父の腕に噛みついた。でも


「いてーなこの野郎!」


と静は顔を殴られ地面に転がった。


金髪頭のチンピラは静の髪を鷲掴みにして顔を上に向かせた。


「16.7かな?味見してからイメクラに売っ飛ばそうか」


とヒヒヒと笑った。


静は恐怖にガタガタ震えた。


「わ、私のお父さんは警察官よ!


 私に何かしたらすぐ捕まるから!」


と精いっぱいの嘘をついた。


すると禿親父はニタリと笑って静に言った。


「お嬢ちゃん、最近みなかったけど前はここら辺うろついてたよねぇ。


 帰りたくない事情があるんじゃないの?


 家出娘とか、見ればだいたいわかるんだよ。


 売りをするにしても組に守って貰った方が安全だよ?」


と言った。


ジリジリと追い詰められていく静。


(売られるなんて絶対やだ!)


静はガバッと起きて路地裏をダッシュして走った。


「待て!!」


と追ってくる。


目の前に通りが見えて来た。


その時髪をむんずと掴まれた。


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