それでも、君が好きだから。
「ひらり!」

「柴!!」



ひらりのチームメイトが一気に集まったからひらりの様子は見えない。



ぶつかった三年生は普通。でも……ひらりが立ち上がらない。




「あ、おい咲良!!」




気づけばナオの声をシカトしてひらりの元へ向かっていた。




「どいて」




周りを囲んでいた女子を押しのけて倒れているひらりの横にひざをつく。



「咲良……ひらりが……」



みなみは震え、涙目で。



「大丈夫だよ、俺たちだっていつまでもガキじゃねぇんだから」



俺はひらりを抱きかかえた。



……‟お姫様抱っこ”とかいうやつ。



「落ち着け、ただの熱だろ」



みなみの髪をぐしゃっとして俺は保健室に向かう。
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