それでも、君が好きだから。
「ん……咲良?」



ひらりが目を開け、トロンとした瞳で俺を見つめる。



……落ち着け、心を‟無”にしろ…!




「おかゆ、食えるか?」



「食べるー」




「起きて」




そう言うとひらりはむくっと起き上がる。



「……っ」



そのとき、ひらりの顔が一瞬引きつったのを俺は見逃さなかった。



「足、痛むんだろ?」



「うん……まぁ自分が招いた結果だし。後悔はないよ」



ひらりが片方の眉をさげて笑う。



「……無理すんな、俺とみなみも協力するし」



俺はひらりの頭をポンポン、とした。
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