それでも、君が好きだから。
【里緒side】

「あっれー、C組のイケメン王子、由井くんじゃん」



ひらりんと話した一時限目の体育が終わり、俺は着替えもせずにいつものサボリスポット、裏庭に向かっていた。




「待ち伏せ?授業始まってるけど」




校舎の壁に寄り掛かってポケットに手を突っ込んで無言の由井。




「ひらりんの事、だろ?」




分かってたよ。あえて気づかないフリしてた。




「お前、なんのつもりだよ」



いつもほかの人としゃべってるときとは違う、低い声で由井は言った。



「なにって、なんだよ」



「いろんな女にちょっかい出してんだろ。……本気じゃねぇなら、ひらりには近づくな」




由井は鋭い目で俺をにらんで校舎に戻っていった。

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