それでも、君が好きだから。
「え?……うん」



「じゃあさ、俺と付き合って」







思考が停止し、頭が真っ白になる。




「な…にいってんの?」




「そのままの意味。気づいたら…さ、好きになってたんだ。」




里緒は片眉を下げ、寂しそうに笑う。




「わ、私……」




「好きな人がいる、でしょ?分かってる。分かってて告白したんだ。だからさ……




俺を、振ってください」






これが、里緒の覚悟なんだ。でも……




「里緒……「言って。じゃなきゃ俺が進めない」




「っ……ごめん……」




私は溢れそうになる涙を堪え、里緒にそう伝えた。




「うん、ありがとう。それだけだから」




里緒の前では、泣いちゃいけない。だから……




「また、明日ね」




そう笑顔で言って、私は空き教室を飛び出した。
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