それでも、君が好きだから。
*******

俺とひらりは、生まれたときからずっと一緒だった。



「咲良!!」



気づかぬ間に、俺はあの暖かい笑顔に惚れていたんだと思う。


……気づいたのは、ひらりがいなくなった日だったけど。





+++

「みなみ、新曲聞いたか?」




「うん……帰ってから」




夏休みだったあの日俺らは、いつも通りひらりの家に遊びに行った。





ピンポーン……


『はい』


「咲良です。おじさん、ひらりは?」



中学生ながら、俺はひらりのお父さんの声がいつもより暗いのに気づいた。
< 36 / 256 >

この作品をシェア

pagetop