それでも、君が好きだから。
……それから夏休みの間ずっと、俺もみなみもひらりの家にはいかなかったし、ひらりに一度も会わなかった。
「片倉さんが、ご家庭の事情で転校しました」
夏休みが開けた、始業式の日。担任の言葉に俺とみなみだけやっぱりか、とため息をついた。
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「さ!く!ら!」
ボーっとしてた俺の顔に、髪が長い女の影が映った。
もちろんそんなん一人しかいねえし。
「何だよひらり」
さっき帰らせたのに。
「咲良こそ、何ボーっとしてんの?」
「質問に質問で返すな」
呆れる。