それでも、君が好きだから。


……それから夏休みの間ずっと、俺もみなみもひらりの家にはいかなかったし、ひらりに一度も会わなかった。



「片倉さんが、ご家庭の事情で転校しました」




夏休みが開けた、始業式の日。担任の言葉に俺とみなみだけやっぱりか、とため息をついた。


+++

「さ!く!ら!」



ボーっとしてた俺の顔に、髪が長い女の影が映った。





もちろんそんなん一人しかいねえし。



「何だよひらり」





さっき帰らせたのに。





「咲良こそ、何ボーっとしてんの?」





「質問に質問で返すな」




呆れる。
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