始まりの青
「うん、あたしは行かない。広瀬は? 行くんでしょ?」


当たり前のように聞けば、行くよ、と答えが返ってきた。


そりゃそうだよね。


部長だったんだから。


「最後まで子守り、ご苦労様」


「子守りって……。そんなことあいつらが聞いたら大騒ぎだぞ」


まあ、外れてはないけどな。


片眉を上げて広瀬は苦笑する。


広瀬は部長をやっていただけあって、面倒見がすごくいい。


海合宿に参加していないあたしでもどうにか部になじんでいられるのは、実は広瀬のおかげだったりする。


その点では、広瀬にも感謝……だね。


「広瀬はさ、大学どこだっけ?」


「S大の教育学部」


ああ、やっぱり。


広瀬には先生が似合うと思ってたんだ。


人をまとめるのがすごくうまいし、指導者向きって感じで。



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