始まりの青
「広瀬は、きっといい先生になるよ。教えるの上手だし」


後輩の指導も、部長だからっていうのもあったからかもしれないけれど、人一倍熱心だった。


部活が終わったあとも遅くまで残って練習メニューとか考えてたし。


何で知ってるかって? 


学校が閉まる時間までは、部活が終わった後あたしもプールで泳いでたからね。


夏場はよく一緒に帰ってたんだ。


「どうなるかは分かんないけどな。まあ、期待に沿えるように努力するさ」


広瀬はまじめだから、あたしのこんな他愛ない一言にも正面から向き合っちゃう。


疲れない程度にほどほどにね、と言っておいた。


「菊池は、N体大だったよな」


「そうだよ」


あたし、水泳のインストラクターになりたいんだ。


あたしは、日本代表に入れるようなすごい選手じゃないし、せいぜい県大会どまりのレベル。


でも、泳ぐことは一生続けていきたい。


広瀬のように指導者向きかって言ったら……それはどうかわかんないけど。


大好きなことが仕事にできたら、すごくいいと思わない?


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