始まりの青
スイミングスクールでも、ジムでも、どこでもいい。


子供相手でも、おじさんおばさん相手でもいい。


泳ぐことを仕事にして、一生水とかかわっていきたい。


「菊池らしい。また泳げる場所を選んだってことか」


「泳いでないと、生きていけないんだ、あたし」


「……疲れない程度に、ほどほどに、な」


さっきのあたしの台詞をそっくりそのまま返してきた広瀬。


ま、せっかくのアドバイスだし?


「聞いとくわ」


素直に受け取ると、広瀬はよし、とうなずいた。


……で、いまさらなんだけど。


「なんで広瀬はまだここに残ってるの?」


時計を見れば、みんなとっくにカラオケを始めてるような時間。


こんなところで元部長が油を売っていていいわけがないのに。


「菊池が、残ってたからな」

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