始まりの青
「あたしが……?」


きょとんと見返しちゃったけど、考えればそうだよ! 


あたしひとりぽつんとプールサイドに残ってたら、面倒見のいい広瀬が帰れるわけないじゃん!


「ごめん! あたしのことは気にしなくっていいから、広瀬は行って? 鍵は掛けとくから」


スタート台から立ち上がって手を差し出せば、広瀬はそういうことじゃない、と首を振る。


「菊池に、言いたいことがあったから残ったんだよ」


あたしに、言いたいこと……? 


なんだろう。


「言いたいことって、なに?」


首をかしげると、広瀬は一度目を逸らした。


けど、何かを決意したのか、視線を戻して。


そして。


「好きなんだ」


「……え?」


好きって……まさか。


「菊池のことが、好きなんだ」


……………………嘘でしょ?

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