始まりの青
「……びっくりした」


まさか、広瀬があたしのことを好きだったなんて。


どうしようもないことだけど、告白を断るのって、なんだかちょっとつらいな。


はあ、と一つため息をついて、空を見上げると、視界を掠める、二階のあの窓。


あの夏の一週間、毎日見上げた美術室の窓。


『彼』が気になって、あたしもあの窓から目が離せなくなってた。


「『最後だから』……か」


広瀬の言葉が、頭の中をループする。


広瀬は『最後』と言ったけど、あたしにとっては今日が『最初』の日。


だれにも言えなかった気持ちが、形になる日だから。
 




窓を見ていたら、顔を出した『彼』と目が合った。


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