ただひたすらに君が好きだよ。

-放課後-

7限も終わり私は急いで部室に向かう

「ハァハァ」

『ガラッ』

「宏斗先輩!!、畳OK出ましたよ!!」

「おう、そうか、それはよかった」

「って、なにやってるんですか!?」

部室では宏斗先輩ともう一人の3年生
中城 春樹先輩が2人でトランプをしていた

「千鶴、もトランプ、やる?」

「やりません。今日は部室の掃除するんじゃなかったんですか?」

「そうなんだけどさ、俺たちだけでやろうとすると後で千鶴ちゃんの仕事増やすだけかなーって...」

「力いること、俺たちがやる」

春樹先輩は、ずっと話しているようなタイプではなく

自分が大丈夫と思った人の前でしかほとんど話さない

無口系イケメンさんなのです。

「そうでしたか、それは気を遣わせてしまいましたね、

では、早速始めましょう!!」

つい最近、部室がやたら埃っぽいと
顧問に注意され、最後に掃除した日を

聞いてみたら、先輩たちの答えは

『覚えてない』だった、

私が入部してからそういったことをやった覚えももちろんなく

すぐさま、掃除をすることになったのだ

「じゃあ、私このゴミ捨ててきちゃいますね」

「えっ、いいよ、そういうのは
先輩たちに任せて!!」

「いえ、先輩たちは自分のロッカーを
綺麗にしてください!!」

部室には、いくつか縦長のロッカーがあって、本当は個人用ではないのだけれど、

あまりにも部員が少なく、1人1つ使っても何の問題もないということで

使うようになった。

でも、気付いてみれば、ボードゲームや
パソコン、漫画など、

先輩たちのロッカーは家の物置化していた

私は大きなゴミ袋を2つ両手に持ち
ロッカーの片付けを先輩たちにお願いして

校舎裏の焼却炉へと向かった

「ふぅ、案外重い....」

ちょっと休憩。

「時田?、なにやってんだ、こんなとこで」

そこにいたのは、サッカー部の
チームTシャツを着た小鳥遊くんだった

「あ、ああ、ちょっとゴミ捨てに...」

「サンタみたいな袋2つも?、
どっから出てきたんだそのゴミは」

私に近づきながら話す小鳥遊くん、
顔付きを一切変えることなく

私の片方のゴミ袋を持つ

「部室....
手伝ってくれてありがとう」

「いえいえ、
部室か、じゃあ、先輩とかいんだろ
なんで、時田が1人でこんなこと」

これぞまさに紳士、だね

「ああ、宏斗先輩も春樹先輩も
ロッカーのほうをやってもらってるから

手が空いた私が来たの、」

焼却炉に向かって一緒に歩き出す

普段と違うかっこの小鳥遊くんに
また、ドキドキしてしまう....

「それでもダメだろ、こんな重いもん」

「先輩たちも、行くって言ってくれたんだけどね、

あのロッカーは一刻もはやくどうにかして欲しかったから....

まさか、あんなことになってるなんて...」

「そうか、まぁ、時田がいいんなら
いいけど」

「いや、よくない!!、」

「よくないのか!?」

廊下の端まで来るとほとんど人はいなくて、私たちの声がよく響く

「うん、よくないよ!!
私、小鳥遊くんに助けられてばっかりで

私なにもしてあげられてない!!」

「!?、そっち?、
別にそんなことないよ、俺案外自分のためにやってたりするからな」

「そんなことないよ、今日だけでも、
ハンカチ借りちゃったし、
あっ、洗って返すからね、

今も手伝ってもらってるし....」

ほんと、助けられてばっかりだ....

「それは違うな、例えば今だって」

「???」

焼却炉について隣のネットにゴミを入れる

「本当に助けたいとか、手伝いたいって思ってたら、時田の持ってたゴミ袋
両方とも持ってってやるだろ?

でも、そうしないのは、俺がちょっと部活抜けたいってのと、時田と一緒にいたいっていう

ちょー、自分のため」

「///////っ!!」

そういって、私に向かって微笑む小鳥遊くん、 イケメンすぎるよ...

「わかった?、俺は自分のためにやってんだぞ、

むしろそれを、勘違いさせてる
カッコつけヤローだ(笑)」

「い、いや、そんなこと全然////」

手ぶらになった私たちは、また
人通りの少ない廊下を通る

私の赤くなった顔はなかなか元に戻らない....。

「た、小鳥遊くんは、なんで校舎にいたの?」

小鳥遊くんに気づかれないように、
少し前を歩く

「ああ、ちょっと忘れ物して
取りに戻ってた」

「大丈夫?、こんなに長くなっちゃって」

「ああ、多分、悟もいるし」

ふぅ、だいぶおさまってきたかな?

「えっ、悟くん宿題終わったの!?」

「ん?、悟宿題やってるんだっけか
ヤベェ、忘れてた....

まぁ、大丈夫だろ、

時田のほうこそ、先輩たちだけで大丈夫なのか?」

小鳥遊くんが私の横に並んだ

「う、うん、

もうすでに片付け
今日中に終わらないと思うし...

きっと、また途中で脱線しちゃうだろうから....」

言ってって恥ずかしくなってきちゃう...

「じゃあ、今日、最後まで学校いんのか?」

「えっ、う、うん、多分...」

「やっしゃっ、なら一緒に帰ろうぜ!!」

「えっ!!!!」

あまりに意外な発言に無意識に声が出る

「時田はあんま知らねぇかもだけど
俺たち、放課後も一緒に帰ってんだよ

でも、結構あの2人に
申し訳なく思ってて

だから、俺いっつも帰り
時田がいてくれたらなぁ〜って思ってたんだ!!」

あっ、そういうことか.......。

って!!、なんで残念がってんの私!?
小鳥遊くんと一緒に帰れるなんて夢みたいなことを目の前に!!

自惚れるなーー、私.....

「時田?、ダメか?」

「だっ、ダメな訳ないよ!!
もちろん、お供させていただきます!!」

「ブハッ、お、お供ってなんだよ(笑笑)」

そ、そんな笑わなくても....

「そうだ、どうせなら2人で帰らしてやろうぜ悟たち2人」

「えっ、でも、」
そうしたら、私たちも2人で帰るの、

かな!?

「どうかな!?」

「あっ、うん、いいと思うよ!!」

「よし!!、じゃあ決まりな!!
俺、悟に言っとくよ、部活終わったら
迎えに行くから!!」

気付くともう、下駄箱まで来ていた

「わ、わかった、あとでね」

「おう!!」

小鳥遊くんは下駄箱の方に
私は階段に...

ゴミ出ししに来ただけだったのに
まさかこんなことになるなんて、

さっきより顔があついよーーー

少し階段を上って、後ろを振り返ると
たまたまこっちを見ていた小鳥遊くんと目が合う

「っ///////!!、」

わぁぁぁ、目あっちゃった...、
そんなつもりで振り返ったわけじゃなかったのに!!
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