私、今から詐欺師になります
「本当に七億返したら、茂野はお前と離婚してくれるのか?」
「どうでしょう。
わかりませんけど。
あの人、すぐに世間体がどうとか言いますからね。
俺が妻に逃げられるとか、周りになにを言われるか、と怒っていました。
貴方が私を捨てたことにすればいい、と言ったんですが。
そしたら、今度は、妻を捨てる非人道的な男だと思われるのが嫌だとか言い出して。
だったら、武田信玄が、三年は自分の死を隠せと言ったみたいに、私も何処かに隠居でもしてることにして、存在を隠しておいて、フェイドアウトさせたらどうかと言ってみたんですが」
『誰が武田信玄だっ。
じゃあ死ねっ。
今すぐ死ね!』
「――とか言い出して」
と言うと、
「……本当に居るんだな。
俺のものにならないのなら死ねとか言う男」
と呟いていた。
「どうでしょう。
わかりませんけど。
あの人、すぐに世間体がどうとか言いますからね。
俺が妻に逃げられるとか、周りになにを言われるか、と怒っていました。
貴方が私を捨てたことにすればいい、と言ったんですが。
そしたら、今度は、妻を捨てる非人道的な男だと思われるのが嫌だとか言い出して。
だったら、武田信玄が、三年は自分の死を隠せと言ったみたいに、私も何処かに隠居でもしてることにして、存在を隠しておいて、フェイドアウトさせたらどうかと言ってみたんですが」
『誰が武田信玄だっ。
じゃあ死ねっ。
今すぐ死ね!』
「――とか言い出して」
と言うと、
「……本当に居るんだな。
俺のものにならないのなら死ねとか言う男」
と呟いていた。