私、今から詐欺師になります
「だいたい、お前、仕事って、幾ら稼いでるんだ」

「一日五千円です」

「……いつ、俺への借金を払い終わるんだ?」

 茅野は頭の中で計算した。

「十四万日後ですね。
 ……三百八十四年後?」

「日給なんだろ?
 土日祝日、盆、正月も忘れるなよ」
と横目に見られる。

「来世のその次まで共に居られそうだな」
と半笑いで言われた。

「いやいやいやいや。
 待ってくださいっ」

 ストップッ、と茅野は手を挙げた。

「私、秀行さんとは離婚するんですっ。
 もうそう決めたんですっ」

「なんでだ?」

「言ったじゃないですかっ。
 三年経ったら離婚してくれるって」

「本気にするな」

「三年経ったら飽きるかもしれないとも言いましたよっ」

「お前、逃げ回って飽きるほどさせてないだろうがっ」
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