私、今から詐欺師になります
「で、俺の実家に茅野が住み込むことで決定したんだったな」

「えっ?
 してませんーっ」

「ほら、行くぞ、茅野」
と腕をつかんでくる。

「いっ、嫌ですーっ」
「茂野、手を離せ」

 えいっ、と茅野は秀行の手にそれを押し付けた。

「てっ。
 お前、今、なにをしたーっ」
と手の甲を抑え、叫んでくる。

「タクティカルペンですっ」
と茅野はペンの形だが、先が尖ったキーホルダーを構えたまま言う。

「ああ、それ、知ってる。
 イギリスに居た頃持ってた。

 コンパクトだし、女性の護身用にいいんだよね?」

 痴漢とかに、と言う玲に、穂積が、

「なんでお前が持ってるんだ」
と言っていたが、愚問だな、と思っていた。

 玲はそこらの女性より美しく、魅力的だ。

「次々おかしなものを買ってくるなっ」

 通販かっ、と秀行に叫ばれ、
「いえ。
 通販だと住所が残るので」
と言うと、どんな怪しいもの買ってんだ、という顔を穂積にまでされる。
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