私、今から詐欺師になります
「じゃあ、俺は戻るが。
 茅野、皆様にご迷惑のないようにな」

 そう言い置いて、秀行は行こうとした。

「待て。
 持ってけ、七億」
と言う穂積を振り返らずに、

「いらんっ」
と言って出て行く。

「相変わらず、騒々しい旦那だねえ」
と秀行が派手に閉めた扉を見ながら玲が言っていた。

 いや、本当に……。








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