私、今から詐欺師になります
 茅野が受け取りそびれると、秀行は自分でそれを受け止め、
「こんなものは、こうだ」
と真っ二つに引き裂いた。

「あーっ」

「当たるわけないだろうが、莫迦者。
 っていうか、当たってても、俺が裂いて捨てるけどな」

「そんな罰当たりな」

「罰?
 誰が当てるって言うんだ、そんなもの。

 宝くじの神様か?

 都合のいいときだけ、神仏に頼るなよ」
と言われ、思わず、まあ、それは一理あるな、と思い、黙ってしまった。

 秀行はそんな茅野の顔を見て笑う。

「そうだ。
 今日は帰ったら、お前をたっぷりいじめてやろうと思ってたんだ」

「なっ、なんでですかっ。
 今日、なにかご無礼しましたか、私っ?」

「俺に寂しい思いさせただろうが」
と言いながら、茅野を抱き上げる。

「おっ、降ろしてくださいっ」

「いやだ」

「降ろさないと刺しますっ。
 刺し……あ、あれっ?」

 茅野はポケットを叩く。
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