私、今から詐欺師になります
「ただし、俺と離婚はするなよ。
 人間、どんなに燃え上がって恋をしても、飽きるもんだ」

「えーと。
 じゃあ、貴方も私に飽きるんじゃないですかね?」
と言うと、

「俺は飽きない。
 それにお前に好きな男ができても関係ない」
と言い出す。

「は?」

「お前の意思などどうでもいい。
 俺がお前を好きなんだ。

 お前は俺の側に居るべきだ。

 ……と思うんだが、どうだ、穂積」
と振り返って問うた秀行に穂積が言う。

「ひとでなしだろう」

 一言か。

「じゃあ、お前は茅野がお前を好きじゃない。
 他に好きな男が居ると言い出したらどうする?」

 例えば、俺とか、という秀行に、穂積は、

「俺とかって、いるか? 今」
と言いながらも、諦めるのか? と問うてくる秀行に真面目に答える。

「いや、それで諦めるとかないな」
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