私、今から詐欺師になります
「え。
 いえ、格好いいなーと思って……」

 ああっ、すみませんっ、と茅野は謝る。

 思わず、思ったままを言ってしまっていた。

 なんだか先生にご教授いただいてるみたいだったからだ。

 穂積は表情を変えずに言ってきた。

「明日からどうする?」
「はい?」

「此処で働くか?」

「はっ、はいっ。

 働かせてくださいっ。
 私、自立したいんですっ」

 よろしくお願いしますっ、と茅野は深々と頭を下げる。

「わかった。
 明日までに履歴書書いて、住民票とか持って来い」

 それから、人事に出す前に俺に見せろ、と言ってくる。

「はいっ」

「じゃあ、帰ってよしっ」
「はいっ」

 ありがとうございましたっ、と何故か体育会計のノリで頭を下げてしまう。

 穂積の言い方が、きびきびしているからだろう。





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