この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
Prologue
【ジュエリー・ヨコヤマ】
「いらっしゃいませー」
「あ……あの……、あそこに飾ってあった指輪、欲しいんですけど……」
柏木 緋沙(かしわぎ ひさ)
15歳。
勉強も好きじゃないし、スポーツも出来ない。
得意なこと……そう聞かれても答えられない。
なんの取り柄も無く、友達みたいに好きな人がいて、恋愛の話に沸いて、メイクやファッションに興味も持てない。
かといって、地味ってわけでもない。
ごく普通の中学生。
なのに……両親の母校だからと受験させられた名門高校。
私なんかに合格出来るはずがない……そう弱気な気持ちで、毎日の受験勉強を嫌々してた……。
そんな毎日がそう_____。
あの時、一目惚れしなければ、
きっと、あなたにも出会えなかった。
< 1 / 328 >