この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
みんな学校で用意している人もいれば、一度うちへ帰って用意してくる人もいるようで、なんだかみんな慌しくなっている。
もちろん、生徒会のメンバーは主催者側として、みんなドレスにタキシードを着ているらしい。
私と友達、そして田辺さんは、誰も居ない図書室で急いで支度をしていた。
「わぁ、見て!」
友達がそう声を上げると、2本の大イチョウの間に、キャンプファイヤーのように火が焚かれていた。
まだ陽が沈む前の、うすい夕暮れの中、その炎が赤く揺れている。
「すごいキレイ」
「あれは、生徒会長の案なのよ」
私の髪を巻きながら、田辺さんが言った。
「優也センパイの?」
「そう。
色々コストを抑えるためもあるけど、あの自然の灯りが舞踏会とハロウィンぽくて、いいだろって」
「うん、すごい素敵!」
まだ時間はあるのに、炎の周りに生徒たちが集まっている。
ここから見ても、すごい人数だということがわかる。