この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
こじんまりとした店内に、3つ程並ぶテーブルはいつも満席で、私たちはカウンターの隅が指定席になっていた。
見ると、みんな柄の違うカップを手にする中、私にはいつも同じ、口の大きく開いた厚みのある、クリーム色のカフェオレボウルを出してくれる。
初めて来た時、このカフェオレボウルがすごく気に入ったのを、いつも覚えていてくれる。
そのカップから一口カフェオレを飲んだ。
たちまち体が温かくなる。
「はぁ、おいしー」
私の言葉に奈々ちゃんが、クスッと笑った。
「なに?」
「ううん、久しぶりにヒサの笑った顔見たなーって」
「え?そう?」
「うん、いつもドヨ〜ンとした顔してたから。
そうだ、ねぇ、おばさん!
いつものパンケーキ焼いて」
奈々ちゃんは、カウンターにいる叔母さんに声をかけた。
「ブルーベリーソースの?」
「うん、そう!」