この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。





『きっともう覚えていないよ』





あの時のセンパイの言葉を思い出した。






『猫は仔猫をたくさん産むんだ。
自分の仔だと覚えてる親はいないよ』







「……」






急に涙が溢れた。





あの時の言葉は……



自分のことを、重ねていたのかな……。









『きっともう覚えていないよ』









ねぇ……




本当にみんな忘れてしまうの!?









この仔たちのことも……




サビ子のことも……




指輪のことも……




舞踏会の夜のことも……




図書室から見える大イチョウ






2人で見た、あの景色のことも______。








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