この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
とけた魔法
「_______生徒会長が……そんな……」
私の話を聞いて、奈々ちゃんは驚きで声が出なかった。
色々な噂が流れていたが、奈々ちゃんは「そんなことない!」と、いつも私を励ましてくれていた。
夕焼けに照らされる2本の大イチョウ。
図書室から見るこの景色も久しぶりだった。
「この景色を、また優也センパイと見たい」
「ヒサ……」
「ほら、願い事を口にすると叶うっていうでしょ」
私は笑った。
窓の外に目をやると、ポタリと涙が落ちた。
センパイの名前を口にするだけで、涙が出てしまう……。
「ヒサ…」
悲しいとか、苦しいとか、そんなことじゃない。
ただ、ただ、センパイに会いたい
ただ、それだけなのに……。
「ヒサ……」
「……っ……」
奈々ちゃんが、私をギュッと抱きしめた。