この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
動き出した悪魔
暦の上では春だというのに、校庭の2本の大イチョウはまだ寒そうにしている。
葉のない枝の間からは、淡い陽射しが漏れる。
「もうすぐ卒業式だから、忙しくて」
「そうだね……卒業式だね」
生徒会の奈々ちゃんは卒業式の準備で、最近はいつもバタバタしてる。
生徒会室を出入りする度、図書室に居る私に、何気ない言葉をかけてくれる。
「……生徒会長……優也センパイ、時々、生徒会の様子見に来てくれてるんだよ」
「……うん」
あの日のこと……指輪のこと、奈々ちゃんに話せなかった。
私はカンペキに、センパイにフラれちゃったんだ……。