この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
私は上履きのまま、何も持たず学校を飛び出した。
中央病院までは歩いて行ける距離にある。
病院に着いた時、学校の先生が数人、診察室の前に立っていた。
見ると、センパイの家族はまだ誰も来ていないようだった。
私は息を切らし、先生へ近づく。
「柏木」
私の姿に先生が驚いた。
「センパイ……優也センパイは……」
「瀬戸は大丈夫だよ。
意識もあるし、しっかり話も出来る」
先生はそう笑いながら、私の肩にポンと手を置いた。
「……」
よかった……。
「よかった……」
私は顔を手で覆った。
ホッとして涙が溢れた。
病院のすぐ近くで事故にあったと聞いた。
学校までそんなに距離はない。
センパイはすぐそこまで、来ていたんだよね……。