この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。



私はこの学校を、ヒーヒー言いながら嫌々受験をして……。





それを知っているから、私が進路の話をした時、両親はすごく驚いていた。






今では大森先生もすごく、親身になって教えてくれるようになったとはいえ、あの時の私を知っていれば、誰でも無理じゃないか?と思っていて当然だ。













「ただいまー」








「あ、ヒサおかえりー」



キッチンからママの声が聞こえた。









着替えを済ませ、リビングに降りると、



「ミャー」と、タローとヒゲジローが寄ってくる。








2匹を両脇に抱え、抱きしめる。




「ただいまー待ってたのー?」





チュッチュッと2匹にキスをする。












「おやつくれって」







「……」





幸せなひと時に浸ってたのに……。



ママのさらっと言う夢の無い言葉に、ちっと舌打ちしてしまう。



まるで私より猫たちのことわかっているような、そんな言い方も気に障る……。




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