この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。







「……センパイ……」










写真にはセンパイが写っていた。









車イスに座り、優しく微笑む。








膝の上には猫が乗り、気持ちよさそうに眠っている。








「……サビ子……」















「……最近、ご両親の名前も時々忘れてしまうらしいのよ……」









「……」











写真を持つ手が震えた。












「でもね、この猫ちゃんのことは「サビ子サビ子」って、しっかり覚えていて、可愛がっているんですって」












ポタリと写真に涙が落ちた。










「サビ子に、とられちゃったなー」








センパイの胸で眠るのは私って思ってたのにー。









サビ子……センパイに可愛がってもらってるんだね……よかった……。






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